初夏の食養生で、病気を予防しましょう。
春から夏にかけては、天気も気温もめまぐるしく変化します。雨になったり、晴れたりの繰り返しで、体調をくずして、風邪を引き込む人も増加します。“風邪は、万病の元”といわれますが、風邪をこじらせてしまうと、喘息の発作や、肺炎になるなど、やっかいな病気に悪化することもございます。寒い雨の「寒邪」と、初夏におきる強いかぜの「風」が合わさり、花粉やウイルスなどの「邪」と混ざり合って、風邪や花粉症を引き起こしてしまいます。しかし、同じ環境にいても、風邪を引かない人も花粉症にならない人もいます。なぜなのでしょうか。 それは、身体の『免疫力』の強さと、関係しています。 漢方では、「正気が体の中に存在すれば、邪は犯すことができない。邪気が集まるところでは、その気は必ず虚弱となる」といった教えがあります。邪とは、ウイルスなどの健康を邪魔する各種の要素のことであり、正気とは、身体の健康を維持する免疫力や抵抗力のことです。「病は気から」という言葉があるとおり、気は、身体の免疫力と特に関係が深い要素です。「気虚(ききょ)」とか「気滞(きたい)」といった状態になると、風邪や花粉症にかかりやすくなるというわけです。風邪や花粉症にかからなくするには、気を充実させて、免疫力をアップさせ、『衛気(えき)』を増すことが必要です。 衛気とは、身体の表面をめぐっているバリア機能を担当する気のことで、体外からの雑菌やウイルス、花粉、気候の異常からの悪影響をカットして、身体を守っている気のことです。
日常生活における食養生では、まず、大切なことは、「身体を温める」ということになります。 低体温の悪影響は、いまさらいうまでもありませんが、身体が冷えると、免疫機能をになう白血球の働きも減衰して、外からの邪の侵入を許してしまいます。
また、過労やお酒の飲みすぎもよくありません。今の時期に、お食事に豊富に取り入れていただきたいのは、気を補い身体を温める牛肉、ながいもなどの山芋類、免疫力を高めるシイタケなどのキノコ類、βカロチンを豊富に含み粘膜の抵抗力を高めるブロッコリーやアスパラガス、ビタミンが多いニンジン、かぼちゃ、パプリカ、ピーマンなどの緑黄色野菜、身体を温めて気血のめぐりをよくするニンニク、たまねぎ、ショウガもおすすめです。さらに、健康を維持して、病気にならないためには、適度な運動と、ストレスの発散も必要です。これらの食養生などを実施して、免疫力を高めて、衛気を充実させて、風邪や花粉症を予防しましょう。
また、免疫力を上げたり、衛気を増やしたり強化することは、漢方の得意分野でもあります。早めの養生があなた様自身を助けます。 |