子供の健康な成育に「補腎」を考えましょう
最近では早産が増えているというお話を良く聞きます。これには漢方の見地から見て2つの原因が考えられます。一つは赤ちゃんを体内に入れている母体の力が弱く、赤ちゃんをお腹に入れておけない、と言う理由。もう一つは母体にいる赤ちゃんの力が弱く、なんと10ヶ月間お腹の中にいることができない、という理由です。 これは漢方で考えますと、「腎(じん)」の力が弱い、ということに他なりません。 妊娠するための力、出産するまで赤ちゃんを育てる力、そして出産後の母乳をきちんと出す力、これらが全て「腎」の力によるものです。つまりこの「腎」の力が弱ければ不妊、流産、栄養失調の赤ん坊などの大きな理由になるというわけです。そして、この腎の力は生まれたばかりの赤ちゃんにも当然備わっているものですが、この力が生まれながらに弱い子が近年は増加しているというわけです。
皆さんは「五遅(ごち)」という言葉をご存知でしょうか。 ・言葉をなかなか話さない ・髪の毛が生えてこない ・歩くのが遅い ・歯が生えない ・頭の泉門(てっぺん)がふさがらない というものが漢方の用語で「五遅」と呼ばれており、ここに腎の力不足が関与していると考えられています。腎の力不足は広く言えば生育が悪く、心と体の成長がうまくいかないという状態につながります。
さらに言ってしまうと小児のぜんそくやアトピーなどのアレルギー疾患の根元にもこの「腎の力不足」が関係しています。このような成長をつかさどる腎の力不足に対して抗アレルギー剤やステロイドなどを小児のうちから多用するとせっかくの成長段階の体の力をますます弱めることになります。ほうっておくことが出来ない、という理由からこのような薬を長期で使われる親御さんが多いのは事実ですが、こういうアレルギー症状にこそ漢方の力をお試しいただきたいものです。 漢方薬は大人が飲むもの、と言う思い込みのようなものが根強くありますが、元気な成長をうながすためのアイテムとしてお子様にこそ使って欲しい漢方薬がたくさんあります。中成薬には「補腎薬」として六味丸、参馬補腎丸など様々なお薬がありますが、体質に合ったお薬を選ぶことが大切です。
人間、ひいては生物にとって「腎」は命の要となる部分です。 お子様の成長不全、小児の慢性疾患にはまずは「腎」を補う漢方薬を是非お試しあれ! |