五月病(不安感・軽いウツ状態)と漢方薬
四月は、入学や、入社、転勤など、移動の多い時期です。そのため、家族や職場の構成も変化し、五月には、新しい環境になじめずに、不安感が増したり、イライラして怒りっぽくなったり、仕事や勉強に打ち込めなくなり、軽いウツ状態になったりします。これを「五月病」といいます。また、五月は、気温の変化もめまぐるしく、暑かったり、涼しかったりする自然環境の変化も、体の変調に影響を与えます。五月病は、正式な病名ではありませんが、五月頃にあらわれるストレスを主な原因とする神経の失調する状態をさしています。 五月病は、本来は一過性のものですが、うまく乗り切れないと、いわゆる病的な症状にまで進行することが多々ございます。 例えば、タメ息がでたりして疲労倦怠感が続いたり、お腹にガスがたまったり、目が充血してイライラ怒りっぽくなったり、不安になり動悸が激しく息苦しくなったり、恐怖感に襲われたり、肩こりが強くなったり、自律神経が失調して、ひどいときには、狭心症の発作がおこったりします。
五月病の対策
五月病を治すポイントは、「リラックスする」ことが大切です。なるべくストレスになることを遠ざけることです。まわりの環境が変化しても、体の恒常性を維持するように心がけることが必要です。具体的には、個々人の体質と症状にあわせて、漢方薬を選んで、お飲みになることによって、少しずつ回復に向かいます。個人差はありますが、およそ二ヶ月から半年くらい、漢方薬をお飲みになると、回復を実感できる方が多いようです。
1.気の滞るタイプの五月病 ストレスを受けると、体の気のエネルギーのめぐりが悪くなり、いろいろな症状がでます。これを「気滞」といいます。気滞になると、イライラして怒りっぽくなる。ウツの気分でタメ息がでる。目が充血しやすい。胸や脇が張る。お腹にガスがたまりやすい。女性の場合は、生理不順や生理痛があることか多い。などの症状が出やすくなります。 ●気の滞る方向きの漢方薬 →星火逍遥丸 星火逍遥丸の「逍遥」とは、気持ち良くなって散歩するという意味です。今でいえば、リラックスするということです。つまりは、怒りっぽい、ウツ気分、目の充血、お腹にガスがたまるなどの症状を解消して、気の滞りを治します。そして、女性の生理不順や生理痛にも効果を発揮します。
2.「心」や「腎」が元気不足の五月病 漢方では、心が心明をつかさどると考えられています。心明とは、大脳皮質や中枢神経を支配する働きのことです。また、腎は、単に腎臓をさすのではなく、泌尿生殖系、ホルモン系、カルシウム代謝、免疫系などを含んでいます。ストレスなどにより、腎の働きが弱ったことを「腎虚」といいます。 漢方の五行説によると、心は「火」になり、腎は「水」になります。腎虚により、この火と水のバランスがくずれると、のどが渇く。動悸がして不安になる。胸か苦しくなる。恐怖がわく。取り越し苦労をする。肩こり。がんこな便秘。睡眠が浅くなり、夢が多くなる。不眠になる。足の裏がほてりやすい。などの症状が出やすくなります。 ●心や腎が元気不足の方向きの漢方薬 →天王補心丹 天王補心丹は、薬名どおり、心を補い、心と腎とのバランスをとる漢方薬です。ストレスによる、五藏六府の心と腎のバランス乱れが原因で同時におこりやすい、のどの渇き、動悸、不安、恐怖、多夢、肩こり、便秘、足の裏のほてり、などの症状を解消します。
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