尿漏れ
尿漏れ(頻尿)とは、排尿回数が増加すること、尿漏れとは排尿する前に尿がもれてしまったり、くしゃみなどおなかに力を入れたときに思わず尿が出てしまったりすることを言います。頻尿の原因は水分の摂りすぎ、膀胱や前立腺など泌尿器関係の病気、加齢、排尿に関係する筋肉の低下、神経の病気、心因性のものなど、さまざまです。尿漏れの原因も多様で、泌尿器関係の病気や糖尿病、加齢、筋肉の低下、神経の病気などが挙げられます。いずれも年齢とともに増えている症状で、40歳以上の1〜2割の人が排尿に関するトラブルを抱えていると言われています。
漢方で尿漏れに対処しよう
漢方の概念には、「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。「気」は生命エネルギー、「血」は血液とそのはたらき、「水」は血液以外の水分と考えられています。頻尿や尿漏れなどの排尿に関するトラブルは、この3要素のうちの「水」に異常をきたす「水毒・水滞」によって生じる症状です。
さらに、こうした原因を作り出すのが、水の状態を調整している五臓六腑、「腎(じん)」です。腎といっても、腎臓というひとつの臓器だけを指すのではなく、排尿・排泄、水分代謝、ホルモンバランス、記憶力などを総合したはたらきを表します。腎の機能が衰える「腎虚(じんきょ)」という状態になると、「水」に関する異常が起こってくるわけですが、その一つの症状が排尿のトラブルです。 また、寒くなるとトイレが近くなるように、こうした排尿トラブルの根底には「冷え」があると捉えています。前述した腎虚も冷えによってもたらされることが多いことが分かっています。そのほか、血の滞りで生じる「お血」も腎虚に関わることがあります。
漢方の治療では、こうした腎虚、水毒・水滞、お血など排尿のトラブルの背景にある原因を探り、正常にして、頻尿・尿漏れを改善していくことを目的にします。また、最近では細菌感染がないにもかかわらず、頻尿に下腹部の不快感、蓄尿時の痛み、残尿感(尿が残った感じがする)が合併する膀胱痛症候群/間質性膀胱炎という病気の存在が明らかになっていますが、漢方薬で、下腹部の不快感や痛みなどを改善させることができます。
虚弱体質の尿もれ(尿失禁)の症例 女性 57歳 尿もれ(尿失禁)
細身で顔色に青白い女性です。普段から身体が弱く風邪をひいたり、下痢をしたりするたびに当店の漢方薬を服用していました。 最近は、風邪も引かなくなり胃腸も丈夫になって来たのですが、今回は、長いこと尿もれ(尿失禁)で悩んでいるとのことで相談を受けました。 今までも、尿もれ(尿失禁)は時々あったのですが、恥ずかしくて相談できなかったとのことでした。 尿もれ(尿失禁)はクシャミや咳をしたときにもありますが、一番困るのはトイレに間に合わないことが多くなってきたことでした。
この方は、冷え性で疲れやすさも見られたので、身体を温めて体力を補い腎臓や膀胱の働きを改善する尿もれ(尿失禁)の漢方薬を処方しました。服用を始めて翌日には漢方薬の効果が実感できたとのことでした。服用を始めて一ヵ月後には尿もれ(尿失禁)はほぼ改善しました。
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