ヒトの体毛は他の多くの哺乳類と比較して少ないことから、ヒト同士が接触すると肌と肌が直接触れ合います。また多くの歌の詩や、文学作品を紐解くまでもなく、ヒトは親しい間柄の人と肌を触れ合うと安心するするので、より広い面積での接触はより安心度合いを高め、親密度を高める効果があると考えられます。正常位は、他の体位よりも肌の接触面が大きいため、より“安心の相互供与”というコミュニケーションを行うには適した体位だと考えられるのです。
それでは何故、この正常位が他の霊長類で発達しなかったのでしょうか。その答えの一つとして考えられるのが、太古の昔人間が海に半分浸かりながら生活していたという説。これが本当だとすると、陸上では不安定な正常位がヒトで発達し、他の霊長類では発達しなかった理由付けのひとつになります。即ち、太古のヒトは水中でセックスをしていた。実はヒトの他にも対面体位で交尾を行う哺乳類がいます。それはイルカ・クジラ類で、両者とも水中で対面しながら交尾を行います。ヒトも対面形式のセックスを浅瀬などで行う内に正常位が定着したと考えられます。プールや海の中でセックスをする人がいますが、それはヒトが遙かなる昔より行っていた体位かもしれません。