人間は体に柔軟性があり、物理的に様々な体位を選べるという状況が存在する。人間以外の動物の場合、体の構造上交尾の体勢に制約がある場合が多い。その為「この体位以外ではやりようがない」という制限が無い為に、色んなやり方が可能だという事だ。そしてその殆どの体位で妊娠も可能だと思う。膣奥できちんと射精さえすれば、騎乗位だろうが松葉崩しだろうが、正常位だろうが後背位だろうが。その為本質的には人間のセックスには体位には制約が無い事になる。別にどういうやり方でも構わないとも言える。その意味では異常も正常も無いのである。
正常位は別名「宣教師の体位」とも言われてるようで、英語でも「missionary position」と呼ぶそうである。実は対面男性上位をノーマルでスタンダードな体位として確立した背景には、どうも宗教的な意味合いが漂っている。キリスト教の布教の際に宣教師が推奨した体位らしい。15世紀から17世紀前半にかけてヨーロッパの強国が南米等の国々を侵略した際に、制圧後の各国にキリスト教を布教したわけだが、現地住民のセックス体位を「動物的だ」等との理由で宣教師が嫌い、キリスト教布教のプロセスのひとつとして「人間らしい体位」を行うべきとして正常位以外を禁止したりしていたようなのだ。要はキリスト教の宣教師が他人のセックスのやり方にまで口出しした結果が「正常=正常位」の図式の源のようなのだ。随分と大きなお世話だと思うのだが。
事実セックス体位にはお国柄があり、元々後背位や騎乗位を一般的に主流として行う国もあるらしい。日本人も元々正常位に拘っていたわけではない。日本も江戸時代などには「四十八手」等と呼ばれる体位バリエーションの文化があった。いわゆる「今正常位と呼ばれている体位」だけが正常ってハナシでも無さそうなのだ。男女が向き合って交わり合う体位を正常位というが、実は男が上の時だけが「正常位」と呼ばれる。つまりは正常位とは「対面男性上位」の事であり、「対面女性上位」は正常位とは呼ばずに単に「女性上位」と呼ぶ。これって、男が上になるのが正常って事だよね?ある種の男尊女卑みたいな感じもするんだけど…。その意味でも正常位という呼び方には何となく胡散臭いものも感じるのだ。