1.種々の血圧指標と循環器疾患発症リスクとの関係
種々の血圧指標と循環器疾患発症リスクとの関連をみると,収縮期血圧が最もよく予後を予測できることが,アジア・オセアニア地域でのコホートを統合した大規模なメタ解析で認められている
2.脳卒中患者の予後
脳卒中・心筋梗塞,罹患率を調査した世界保健機関(WHO)の共同研究(MONICA)では,脳卒中発症患者35-64歳の28日以内の致命率は,集団によって異なるがほぼ30%前後である。本邦の1990年ころの脳卒中登録成績では,全年齢調整の28日以内の致命率は,15%程度である。脳卒中病型別の致命率では,くも膜下出血が約30%と最も高く,次に脳内出血が約20%,脳梗塞が約10%である。久山町の1970年代初頭から1980年代初頭にかけての40歳以上の初発脳卒中患者では,その1年以内の死亡割合は40%にも達した。28日以内の死亡割合は,男性25%,女性22%であった。富山県小矢部市の脳卒中登録成績では,1980年から1990年の28日以内の致命率の推移は,男性では21%の減少,女性では25%の減少であり,致命率の改善がみられている。脳卒中発症1年後の日常生活動作の低下による要介助者の割合は,29-45%程度認められ,寝たきり予防の観点から脳卒中予防対策としての高血圧対策はきわめて重要である。
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