【別 名】…エフェドラ 概 要 ●麻黄は、喘息や痰飲の症状に処方されるエフェドリンの原料です。 ●神農は麻黄をマラリアや頭痛の生薬として挙げました。 ●6世紀の陶弘景は、「寒の症状を治療する第一薬」として推薦しました。 ●今日、麻黄は主に外因による病症、特に風寒の問題に用いらいます。根(麻黄根)は、体の内部の虚にまつわる異常な発汗がある麻黄ときに収敵薬として使用されます。
【基原(素材)】…マオウ科マオウまたは同属植物の茎です。中国北部に産する。
※中医学の薬性理論の大きな柱となるのが次に掲げる「性・味・帰経」で、いずれも生薬の効能効果と関連があります。
【温寒】… 温 ※性:生薬はその性質によって大きく「寒・涼・平・熱・温」に分かれます。例えぱ、患者の熱を抑える作用のある生薬の性は寒(涼)性であり、冷えの症状を改善する生薬の性は熱(温)性です。寒性、涼性の生薬は体を冷やし、消炎・鎮静作用があり、熱性、温性の生薬は体を温め、興奮作用があります。 【補瀉】… 瀉 【潤燥】… 燥 【升降】… 中 【散収】… 散 【帰経】…肺・膀胱 ※帰経とは生薬が体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。
【薬味】…辛 まず肺に入ります。 ※味とは薬の味のことで「酸・苦・甘・辛・鹸」の5種類に分かれます。この5つの味は内臓とも関連があり、次のような性質があります。 「酸」(酸味)=収縮・固渋作用があり、肝に作用する。 「苦」(苦味)=熱をとって固める作用があり、心に作用する。 「甘」(甘味)=緊張緩和・滋養強壮作用があり、脾に作用する。 「辛」(辛味)=体を温め、発散作用があり、肺に作用する。 「鹸」(塩味)=しこりを和らげる軟化作用があり、腎に作用する。
【薬効】…発汗作用 鎮咳作用
【薬理作用】…風寒による過剰な表証を抑制・発汗を促す。肺気を活性化する。利尿を促進する。 マオウの水製エキスまたはエタノールエキスは感作モルモット肺切片に抗原を作用させて遊離するケミカルメヂエター量を抑制する。E。equisetinaはアドレナリン類似の交 感神経興奮作用を有し、散瞳作用、血圧上昇、発汗作用、等が認められる。ephedrineが喘息に著効を示すのは、気管支筋を弛緩する作用があるからで、アドレナリンはその作用が一過性で急激であるが、ephedrineはそれに反し作用が持続的で緩和である。自汗も経口投与でも分解されず有効である。pseudoephedrineには腎臓血管を拡張し、利尿作用がある。麻黄根の薬理について、その抽出物を動物に注射すると、hedrineの 作用とは逆の、血圧降下、呼吸数増加、末梢血管拡張等の作用があると報告がある。
【用 途】…発汗、鎮咳、去痰薬として、皮膚の排せつ機能障害による呼吸困難、喘咳、悪寒、身体疼痛、骨節痛、などに応用する。またかつて塩酸エフェドリン製造原料とされたがほとんどが合成品である。
【注 意】…●不眠症、虚証、高血圧の場合は使用を避けます。 ●エフェドリンに毒性があるため、多くの欧米諸国では法律で禁じられています。 |