貧血は「血が貧しい」と書きますが、血液の量そのものが少ないのではありません。人間の血液の量はほぼ一定ですから、状態としては「血が薄い」ということになるわけです。貧血には、原因によっていくつかの種類がありますが、大部分は「鉄欠乏性貧血」です。
成人女性の5〜10%が鉄欠乏性貧血に悩まされており、さらに“潜在性鉄欠乏状態”の貧血予備軍は、成人女性の20〜25%もいると言われています。女性には、以下のような鉄欠乏性貧血になりやすい条件がそろっています。
●ダイエットや偏食によって、鉄分の摂取不足となりやすい。 ●思春期には、からだの成長にともなって血液量が増え、材料となる鉄の必要量も増える。 ●毎月の月経によって、血液とともにヘモグロビンが失われる。 ●妊娠や授乳によって、赤ちゃんに鉄分をとられる。
通常の月経でも1日10〜30mlの出血がありますから、過多月経や、少量でも不正出血がだらだら続くようなことがあると、たちまち鉄の摂取が排出に追いつかない状態になってしまうのです。ちなみに、10mlの出血があると、5mgの鉄分が体内から失われます。それに対して、1日の食事から吸収される鉄分量は、わずか1〜1.5 mg。
月経過多や、消化器の疾患などの病気があれば、まずその治療をします。そして食事に十分注意して、積極的に鉄分を補給するようにしましょう。 鉄分の欠乏がひどい場合には、鉄剤を使用します。内服、静脈注射、点滴の方法がありますが、内服が一般的です。 |