【別 名】…サトウナツメヤシ・サネブトナツメ
概 要 ●神経強壮、鎮静、催眠薬として、心因性神経性の不眠症、健忘症、口渇、虚弱体質者の多汗症などに応用します。 ●酸棗仁は「酸っぱい棗の実」という意味で、5世紀以来、中国伝統医学で使用されています。この生薬は、470年ごろ初めて本草書に掲載されました。この生薬は精神を鎮めるとても重要な治療薬の一つで、不安、動悸、不眠など心の虚と関連するあらゆる症状に使用されます。
伝統的薬能 ・心や肝に滋養を与え、精神を鎮めます。 ・異常な発汗を止めます。
【基原(素材)】…クロウメモドキ科サネブトナツメの種子です。大棗の仲間です。クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子を乾燥したものです。
※中医学の薬性理論の大きな柱となるのが次に掲げる「性・味・帰経」で、いずれも生薬の効能効果と関連があります。
【温寒】… 平 ※性:生薬はその性質によって大きく「寒・涼・平・熱・温」に分かれます。例えぱ、患者の熱を抑える作用のある生薬の性は寒(涼)性であり、冷えの症状を改善する生薬の性は熱(温)性です。寒性、涼性の生薬は体を冷やし、消炎・鎮静作用があり、熱性、温性の生薬は体を温め、興奮作用があります。 【補瀉】… 補 【潤燥】… 潤 【升降】… 降 【散収】… 収 【帰経】…心・脾・肝・胆 ※帰経とは生薬が体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。
【薬味】…甘・酸 まず脾に入ります。 次に肝に入ります。 ※味とは薬の味のことで「酸・苦・甘・辛・鹸」の5種類に分かれます。この5つの味は内臓とも関連があり、次のような性質があります。 「酸」(酸味)=収縮・固渋作用があり、肝に作用する。 「苦」(苦味)=熱をとって固める作用があり、心に作用する。 「甘」(甘味)=緊張緩和・滋養強壮作用があり、脾に作用する。 「辛」(辛味)=体を温め、発散作用があり、肺に作用する。 「鹸」(塩味)=しこりを和らげる軟化作用があり、腎に作用する。
【薬効】…鎮静作用 催眠作用 鎮痛作用 血圧降下作用 体温降下作用
【薬理作用】…酸棗仁の水溶成分をラットに与えると中枢神経抑制口渇かがみられ、鎮静、催眠現象を呈します。このものは動物試験に於て毒性はありません。陳久品を炒ったものでは鎮静効果を示 さないです。また、生の酸棗仁は逆に興奮作用を呈します。
【用 途】…神経強壮、鎮静、催眠薬として、心因性神経性の不眠症、健忘症、口渇、虚弱体質者の多汗症などに応用します。
【学 名】…Ziziphus jujuba var spinosa
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