【別 名】…密草、生草
概 要 ●マメ科カンゾウの根を乾燥したものでグリチルリチン,配糖体などを含有します。鎮痛、抗炎症、胃痛、鎮咳去痰、解毒、十二指腸潰瘍などにすぐれた効果をあらわし、かぜ薬にも用いられます。
【基原(素材)】…マメ科ウラルカンゾウまたはネンキンカンゾウまたは近縁植物の根です。
※中医学の薬性理論の大きな柱となるのが次に掲げる「性・味・帰経」で、いずれも生薬の効能効果と関連があります。
【温寒】… 平 ※性:生薬はその性質によって大きく「寒・涼・平・熱・温」に分かれます。例えぱ、患者の熱を抑える作用のある生薬の性は寒(涼)性であり、冷えの症状を改善する生薬の性は熱(温)性です。寒性、涼性の生薬は体を冷やし、消炎・鎮静作用があり、熱性、温性の生薬は体を温め、興奮作用があります。 【補瀉】… 平 【潤燥】… 潤 【升降】… 平 【散収】… 収 【帰経】…脾・胃・肺 ※帰経とは生薬が体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。
【薬味】…甘 まず脾に入ります。 ※味とは薬の味のことで「酸・苦・甘・辛・鹸」の5種類に分かれます。この5つの味は内臓とも関連があり、次のような性質があります。 「酸」(酸味)=収縮・固渋作用があり、肝に作用する。 「苦」(苦味)=熱をとって固める作用があり、心に作用する。 「甘」(甘味)=緊張緩和・滋養強壮作用があり、脾に作用する。 「辛」(辛味)=体を温め、発散作用があり、肺に作用する。 「鹸」(塩味)=しこりを和らげる軟化作用があり、腎に作用する。
【薬効】…緩和作用 止渇作用 止痛作用
【薬理作用】…痙攣を治す。副作用防止。鎮痛、鎮咳、去痰、解熱、消炎、鎮静、健胃、強壮。 glycyrrhizinの分解産物は生体の肝臓で有害産物と結合して解毒する。又gly-cyrrhizinは抗アレルギー作用があり皮膚科領域で応用されている。近年甘草エキス、gl-ycyrrhizin及びおその分解物には抗炎症作用、副腎皮質ホルモン様作用の有ることが明らかにされた。又glycyrrhizinの誘導体には抗潰瘍作用が見いだされた。甘草の鎮痙作用はそのフラボノイド成分にある。その他甘草エキスには鎮咳作用、免疫抑制作用等も報告される。
【用 途】…緩和、緩解、鎮咳、鎮痛、去痰薬として筋肉の急激な緊張による疼痛等の急迫症状を緩解。 胃痙攣、胃痛、咽喉痛、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、等にも対応する。 また、グリチルリチンの製造原料として需要が多く、菓子類や醤油の矯味原料ともされる。
|