【別 名】…ヨモギ
概 要 ●ヨモギは、日本でもヨーロッパでも道ばたでよく見かけられる植物で、かっては魔法や呪術に用いられる物と考えられていました。 ●中国・日本では、灸治療でモグサとして使用される他、重要な婦人薬でもあります。 ●西洋薬の研究においては、同じ科の青蒿(せいこう)(Artemisia annua)とともに、マラリアの治療に有効であることが分かっています。
伝統的薬能 ・経絡を温める。 ・出血を止める。 ・寒と痛みを散らす。 ・咳や喘息における痰を取り除く。
【基原(素材)】…キク科Compositaeヨモギまたはヤマヨモギの若葉。
※中医学の薬性理論の大きな柱となるのが次に掲げる「性・味・帰経」で、いずれも生薬の効能効果と関連があります。
【温寒】… 温 ※性:生薬はその性質によって大きく「寒・涼・平・熱・温」に分かれます。例えぱ、患者の熱を抑える作用のある生薬の性は寒(涼)性であり、冷えの症状を改善する生薬の性は熱(温)性です。寒性、涼性の生薬は体を冷やし、消炎・鎮静作用があり、熱性、温性の生薬は体を温め、興奮作用があります。 【補瀉】… 瀉 【潤燥】… 燥 【升降】… 平 【散収】… 中 【帰経】…肺・肝・脾・腎 ※帰経とは生薬が体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。
【薬味】…苦・辛 まず心に入ります。 次に肺に入ります。 ※味とは薬の味のことで「酸・苦・甘・辛・鹸」の5種類に分かれます。この5つの味は内臓とも関連があり、次のような性質があります。 「酸」(酸味)=収縮・固渋作用があり、肝に作用する。 「苦」(苦味)=熱をとって固める作用があり、心に作用する。 「甘」(甘味)=緊張緩和・滋養強壮作用があり、脾に作用する。 「辛」(辛味)=体を温め、発散作用があり、肺に作用する。 「鹸」(塩味)=しこりを和らげる軟化作用があり、腎に作用する。
【薬効】…止血作用 月経調整作用 経絡を温める作用 寒と痛みを追い出す作用 咳・喘息の痰飲を除く作用
【薬理作用】…抗菌、抗真菌、去痰、子宮刺激
【用 途】…艾葉は主に月経過多症や月経痛など月経異常の際に使用されます。 「胎児を鎮める」作用があると言われ、流産の恐れがある場合や不妊症にも処方されてきました。 寒証に関連する腹痛がある場合には、乾姜(かんきょう)または肉桂(にくけい)を配合する処方を使用します。
【学 名】…Artemisia vulgaris
【出典】…名医別録
【三品分類(中国古代の分類)】… 神農本草経や名医別録などでの生薬分類法 中品(保健薬)
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