理解されていない双極性障害(躁うつ病)
再発率や自殺率が高く、まず適切な薬による治療が必要 躁状態とうつ状態をくり返す双極性障害。躁状態のとらえ方など、病気の実態にまだ誤解が多い。
躁状態のときの言動を後悔してうつ状態の引き金になることも
双極性障害(躁うつ病:そううつびょう)は躁状態とうつ状態をくり返す脳の病気です。日本国内では「全人口の1,000人に7人が発症する」といわれており(*)、けっして珍しい病気ではありません。
躁状態のときには、気持ちが高ぶり、「自分が一番偉い」という思いが強くなって、非常に活動的になります。いろいろなことを思いつき、誰にでも話しかけ、早口でまくしたてます。これらが行き過ぎて、無分別な言動を起こすこともあります。 一方、うつ状態のときには、気分が落ち込み、何にも興味がもてず、集中力・決断力は低下し、疲れやすくなります。食欲も低下し、おいしさが感じられず、睡眠障害が現れ、ついには自殺願望にとらわれることがあります。なかには、躁状態のときの活発な言動について、「どうしてあんなことを言って(して)しまったのだろう」と後悔して、うつ状態の引き金になるケースもよくみられます。 二つの状態の移行期には、躁状態とうつ状態が混在するケースもあります。ここで、気持ちが落ち込んだまま行動が活発になってしまうと、自殺の危険性が高まってしまいます。
双極性障害の原因はまだ完全には解明されていませんが、患者さんの脳の中では、脳の働きを調整しているさまざまな神経伝達物質が異常に増えたり減ったりして、バランスが崩れていることがわかってきました。そのほか生活環境や遺伝(性格)も発症に影響していると考えられています。
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