【別 名】…桂枝・ニッキ・シナモン
概 要 ●枝(桂枝)と皮(肉桂)の両方が薬用に使用されます。皮は枝よりもはるかに熱の性質が強いと考えられ、体の中心部に作用します。 ●一方、枝は、桂の木の最も外部にあるように、体表部を温めると見られています。桂枝は660年頃、唐時代の本草書に初めて登場し、麻黄(エフェドラ)ほど薬効は強くないと考えられています。
【基原(素材)】…クスノキ科ケイ(トンキンニッケイ)または同属植物の幹または枝の皮(樹皮)を乾燥したものです。
※中医学の薬性理論の大きな柱となるのが次に掲げる「性・味・帰経」で、いずれも生薬の効能効果と関連があります。
【温寒】… 温 ※性:生薬はその性質によって大きく「寒・涼・平・熱・温」に分かれます。例えぱ、患者の熱を抑える作用のある生薬の性は寒(涼)性であり、冷えの症状を改善する生薬の性は熱(温)性です。寒性、涼性の生薬は体を冷やし、消炎・鎮静作用があり、熱性、温性の生薬は体を温め、興奮作用があります。 【補瀉】… 補 【潤燥】… 燥 【升降】… 中 【散収】… 散 【帰経】…膀胱・心・肺・脾 ※帰経とは生薬が体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。
【薬味】…辛 まず肺に入ります。 ※味とは薬の味のことで「酸・苦・甘・辛・鹸」の5種類に分かれます。この5つの味は内臓とも関連があり、次のような性質があります。 「酸」(酸味)=収縮・固渋作用があり、肝に作用する。 「苦」(苦味)=熱をとって固める作用があり、心に作用する。 「甘」(甘味)=緊張緩和・滋養強壮作用があり、脾に作用する。 「辛」(辛味)=体を温め、発散作用があり、肺に作用する。 「鹸」(塩味)=しこりを和らげる軟化作用があり、腎に作用する。
【薬効】…発汗作用 発散作用 健胃作用 のぼせを治す作用 鎮痛作用 解熱作用
【薬理作用】…・経絡とその側枝を温める ・寒を散らす ・陽の気の循環を改善 ・心臓の陽を強化 製油には腸蠕動運動亢進作用があり、駆風の効がある。桂皮油の主成分で、動物実験を行うと、睡眠延長作用、体温効果作用、解熱作用、鎮静作用の緩和な中枢抑制作用が認められた。
【用 途】…健胃、駆風、矯味、発汗、解熱、鎮痛薬として、中枢神経系の興奮を鎮静し、水分代謝を調節し、体表の毒を去り、これを和解する作用があるから、頭痛、発熱、のぼせ、感冒、身体疼痛などに応用する。
【注 意】…発熱時、実熱あるいは実火の症状がある場合、また妊娠時は使用を避けること。
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